NETWORK GUIDE
ネットワークのしくみ
「どこまでが同じネットワーク?」から、「必要な台数に合わせて割り当てる」まで。ひとつずつ計算しながら、ネットワークの仕組みを学びましょう。
操作できる図ではプライベートIPv4を扱います。 元のプライベート範囲を、より小さなサブネットへ分割しながら確認できます。 /31・/32の例外は第4章で説明します。
2進数から確認したい方は、進数のしくみへ →操作で確認:IPアドレスの範囲
マップの見方・詳しい説明
1マス=1個のIPアドレス。数字は第4オクテットです。左から右へ、上から下へ0〜255が並びます。濃い外枠が元の範囲、紫の線が分割の境界です。
緑は入力IPを含む区画、紫は同じ元ネットワークから分割したほかの区画です。N・Bは選択区画のネットワーク・ブロードキャストを示し、通常のホストには割り当てません。●は入力したIPです。
追加するビットが1増えるたびに区画数は2倍、1区画の大きさは半分になります。/24は16行、/25は8行、/26は4行、/27は2行、/28は1行、/29は半行、/30は4マスです。
初期値はページを開くたびにランダムになります。下の数値と32ビットの表示とは独立しています。
分割した区画の一覧
操作で確認:数値と32ビット
プライベートIPアドレスの範囲を、プレフィックスによって どのように分割できるか確認します。
10.x.x.xは/8、172.16〜31.x.xは/12、 192.168.x.xは/16を元の範囲として、さらに小さく分割できます。 /31・/32の例外は第4章で説明します。
ネットワーク部26ビット/ホスト部6ビット
青=ネットワーク部/橙=ホスト部。 境界がオクテットの途中に来る場合もあります。
- サブネットマスク
- 255.255.255.192
- ネットワーク
- 192.168.10.64
- ブロードキャスト
- 192.168.10.127
- 利用可能ホスト数
- 62
- 最初のホスト
- 192.168.10.65
- 最後のホスト
- 192.168.10.126
- ワイルドカード
- 0.0.0.63
- アドレス総数
- 64
サブネットの計算方法はグローバルIPでも共通です。 この図では仕組みを理解しやすくするため、 プライベートIPアドレスを使用しています。
① IPアドレスの基本
ネットワーク上の通信先を表す番号
IPv4は32ビット
IPアドレスは、ネットワーク上で通信元や通信先を識別するためのアドレスです。正確には機器のネットワークインターフェースに設定され、1台の機器が複数のIPアドレスを持つ場合もあります。
IPv4は32個の0・1で表されます。これを8ビットずつ4つに分け、それぞれを10進数にした表記が 192.168.10.70 です。8ビットのまとまりをオクテットと呼びます。
110000001010100000001010010001108ビットには2⁸=256通りあり、各オクテットは0〜255です。例えば 192.168.10.256 はIPv4として正しくありません。
ネットワーク部とホスト部
ネットワーク部は所属するネットワーク、ホスト部はその中のアドレスを区別します。境界はIPアドレスだけでは決まらず、サブネットマスクまたはプレフィックスで指定します。
192.168.10.70 でも、/24 と /26 ではネットワークの範囲が変わります。確認問題
IPv4の1オクテットは何ビット? 全体では何ビット?
答えと考え方を見る
1オクテットは8ビット、全体は8×4=32ビットです。
② プライベートIPとは?
家庭や社内ネットワークで利用するアドレス
プライベートIPは、組織や家庭の内部で使えるように予約されたIPv4アドレスです。別々の独立したネットワークで同じ範囲を使えますが、接続するネットワーク内では重複しないように管理します。
| 範囲 | CIDR表記 |
|---|---|
| 10.0.0.0 〜 10.255.255.255 | 10.0.0.0/8 |
| 172.16.0.0 〜 172.31.255.255 | 172.16.0.0/12 |
| 192.168.0.0 〜 192.168.255.255 | 192.168.0.0/16 |
これらのアドレスは、そのまま公共のインターネットで経路として扱われません。家庭などでは一般にルーターのNAT/NAPTを利用して外部と通信します。グローバルIPはインターネット上で利用するために割り当てられるアドレスですが、持っていれば必ず外部から接続できるわけではなく、経路やファイアウォールの設定にもよります。
範囲の分類と、計算に使うマスクは別
192.168.0.0/16 は予約範囲全体の表記です。その一部を 192.168.10.64/26 として使うこともできます。クラスA・B・Cという歴史的な分類ではなく、問題に指定されたプレフィックスを使って計算しましょう。
確認問題
172.15.1.1と172.20.1.1のうち、プライベートIPはどちら?
答えと考え方を見る
172.20.1.1です。172.15.1.1は172.16.0.0〜172.31.255.255に含まれません。
③ マスクとプレフィックス
ネットワーク部が何ビットあるかを指定する
/26は「先頭26ビットがネットワーク部」
192.168.10.70/26 のホスト部は 32−26=6ビットです。通常のCIDRのサブネットマスクは、ネットワーク部を連続した1、残りのホスト部を0で表します。
11111111255111111112551111111125511000000192青:ネットワーク部26ビット / 橙:ホスト部6ビット
最後の 11000000 は128+64=192。したがってマスクは 255.255.255.192 になります。
サブネットとは?
大きなネットワークを、より小さなネットワークに分けたものです。例えば1つの /24 を /26 に分けると、ネットワーク部が2ビット増え、2²=4個のサブネットになります。
/26
/26
/26
/26
図はすべて192.168.10.xの末尾です。70は青い範囲に含まれます。
確認問題
/20のネットワーク部とホスト部はそれぞれ何ビット?
答えと考え方を見る
ネットワーク部20ビット、ホスト部12ビットです。プレフィックスの数字が大きいほど、1つのサブネットのアドレス数は少なくなります。
④ ネットワーク情報を計算する
192.168.10.70/26を、順番に解いてみる
1. ネットワークアドレスを求める
IPアドレスとサブネットマスクの同じ位置のビットをAND演算します。ANDは両方が1のときだけ1になる演算です。ネットワーク部は残り、ホスト部がすべて0になります。
| 項目 | 2進数 | 10進数 |
|---|---|---|
| IP | 01000110 | 70 |
| マスク | 11000000 | 192 |
| ANDの結果 | 01000000 | 64 |
先頭3オクテットはマスクが255なので元の値が残ります。ネットワークアドレスは 192.168.10.64 です。
2. ブロードキャストを求める
ネットワーク部をそのままにし、ホスト部の6ビットをすべて1にします。
ブロードキャスト:01111111 = 127
したがって 192.168.10.127 です。このサブネット全体を宛先とするアドレスで、通常のホストには割り当てません。
3. ホスト範囲と台数を求める
通常のサブネットでは、先頭のネットワークアドレスと末尾のブロードキャストを除いた部分が、ホストに割り当て可能な範囲です。
利用可能ホスト数=64−2=62台
最初のホスト=192.168.10.65
最後のホスト=192.168.10.126
ルーターのLAN側アドレスも通常はこの範囲の1つを使います。「利用可能ホスト数62台」は、端末用にルーターの分を別途引いた数ではありません。
/31・/32はどうなる?
/31 は対応したポイントツーポイントリンクで2つのアドレスを両端に利用できます。この用途では通常の「−2」を使いません。/32 は1つのアドレスを指定し、ホストルートなどに使います。これらには、通常のLAN向けのホスト範囲計算をそのまま当てはめません。
確認問題
192.168.1.130/27のネットワーク・ブロードキャスト・利用可能ホスト数は?
答えと考え方を見る
ネットワークは192.168.1.128、ブロードキャストは192.168.1.159、ホスト数は2⁵−2=30台。利用可能範囲は192.168.1.129〜192.168.1.158です。
⑤ 計算を速くする
ブロックサイズで、所属する範囲を見つける
端数のあるオクテットに注目
マスクに255でも0でもないオクテットがある場合、その値を256から引くと、そのオクテットでのネットワーク境界の間隔が分かります。
第4オクテット:256−192=64刻み
開始位置:0・64・128・192
70を含む範囲:64〜127
ネットワークの開始は「IPの値以下で最大の64の倍数」、終わりは「次の開始位置−1」です。64刻みという値はマスクではなく、境界の間隔です。
/20では、第3オクテットを見る
例:172.16.35.123/20
- マスクは
255.255.240.0。 - 第3オクテットの間隔は256−240=16。
- 開始位置は0・16・32・48…。35は32〜47に入る。
- 第4オクテットはすべてホスト部なので、開始は0、終わりは255。
ブロードキャスト:172.16.47.255
ホスト範囲:172.16.32.1〜172.16.47.254
利用可能ホスト数:2¹²−2=4,094台
この「16」は第3オクテットの間隔で、アドレス総数ではありません。第4オクテットの256通りと合わせて、16×256=4,096個になります。
/8・/16・/24はオクテットの境界
例えば 192.168.10.70/24 は、最初の3オクテットを残し、残りを0にするとネットワーク 192.168.10.0。残りを255にするとブロードキャスト 192.168.10.255 です。
確認問題
172.16.50.10/20のネットワークとブロードキャストは?
答えと考え方を見る
第3オクテットは16刻みで、50は48〜63の範囲です。ネットワークは172.16.48.0、ブロードキャストは172.16.63.255です。
⑥ ワイルドカードマスク
比較するビットと、比較しないビットを指定する
ワイルドカードマスクは、アドレスを照合するときに使われます。0のビットは一致が必要、1のビットは比較しないという意味です。
サブネットの範囲を指定する場合
サブネットマスクの各ビットを反転します。10進数では、各オクテットを255から引けば求められます。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| サブネットマスク | 255.255.255.192 |
| 各桁を255から引く | (0, 0, 0, 63) |
| ワイルドカード | 0.0.0.63 |
基準アドレス 192.168.10.64 と 0.0.0.63 の組み合わせでは、先頭26ビットが一致する 192.168.10.64〜127 が照合対象です。ホストだけでなくネットワーク・ブロードキャストも含みます。
サブネットマスクとの違いをもう少し詳しく
通常のCIDRマスクは1が連続しますが、ACLなどで使うワイルドカードには、比較しないビットが連続しない指定もあります。そのため、すべてのワイルドカードが1つのサブネットを表すわけではありません。この章ではサブネットマスクを反転する問題を扱います。
確認問題
/20のワイルドカードマスクは?
答えと考え方を見る
マスク255.255.240.0を各オクテットで255から引くので、0.0.15.255です。
⑦ 同一サブネットを判断する
「範囲に含まれる」と「ホストとして使える」を分ける
問題で指定されたプレフィックスを使って、それぞれのIPのネットワークアドレスを求めます。結果が同じなら、その指定のもとで同じサブネットに含まれます。
サブネット全体:192.168.10.64〜127
利用可能なホスト:192.168.10.65〜126
| 候補IP | 範囲内? | ホスト利用? |
|---|---|---|
| 192.168.10.64 | はい | 不可:ネットワーク |
| 192.168.10.90 | はい | 可能 |
| 192.168.10.127 | はい | 不可:ブロードキャスト |
| 192.168.10.128 | いいえ | 対象サブネット外 |
同じサブネットという計算結果だけで、実際の通信が必ず成功するわけではありません。接続先のVLANや機器設定なども関係します。
確認問題
基準192.168.1.130/27に対し、.128・.140・.159・.160のうち利用可能な同一サブネットのホストは?(先頭はすべて192.168.1)
答えと考え方を見る
192.168.1.140だけです。範囲は128〜159ですが、128はネットワーク、159はブロードキャスト、160は次のサブネットです。
⑧ サブネットを割り当てる
必要な台数から、重複しないネットワークを設計する
1. 必要ホスト数からサイズを決める
50台を収容する通常のサブネットを考えます。2ʰ−2 ≥ 50 を満たす最小のホスト部ビット数hを探します。
h=6:2⁶−2=62台 → 収容できる
プレフィックスは32−6=/26
「最小のサイズ」が条件なら/26を選びます。/25でも台数は足りますが、必要以上に広い範囲を使います。ゲートウェイなどを台数に含めるかは問題文の条件を確認してください。
2. 空き範囲と境界を確認する
親ネットワークが 192.168.10.0/24、既存の割り当てが 192.168.10.0/26 の場合を考えます。
.0〜.63
.64〜.127
.128〜.191
.192〜.255
192.168.10.64/26 なら、/26の開始境界に一致し、既存範囲にも重なりません。.128/26 や .192/26 も、この条件だけなら候補です。「最も小さいアドレスから」などの追加条件があれば、それに従います。
192.168.10.80/26 の80は/26のネットワーク開始位置ではありません。所属ネットワークは 192.168.10.64/26 です。3. 割り当てる前の4つの確認
- サイズ:必要なホスト数を収容できるか。
- 境界:入力したアドレスはネットワークの開始位置か。
- 親の範囲:サブネット全体が指定された親ネットワーク内に入るか。
- 重複:既存ネットワークの開始〜終端と重ならないか。
開始アドレスが違うだけでは重複なしとは限りません。例えば 192.168.10.0/25 は0〜127を使うため、192.168.10.64/26 と重なります。
4. 複数のサイズを使う:VLSM
必要台数に合わせて異なるプレフィックスを使う方法をVLSMと呼びます。空の 192.168.20.0/24 に100台・50台・20台分を設計する例です。大きい範囲から配置すると整理しやすくなります。
| 必要台数 | 割り当て | 利用可能数 |
|---|---|---|
| 100台 | 192.168.20.0/25 | 126台 |
| 50台 | 192.168.20.128/26 | 62台 |
| 20台 | 192.168.20.192/27 | 30台 |
それぞれ0〜127、128〜191、192〜223を使用します。224〜255は空きです。既存の割り当てがある場合は、それを動かさずに空き範囲を探します。
確認問題
親192.168.30.0/24で、192.168.30.0/25が使用済みです。30台用の最小サブネットを、空き範囲の小さいアドレスから割り当てると?
答えと考え方を見る
192.168.30.128/27です。5ビットで30台を収容でき、/27は32刻み。既存範囲0〜127の直後である128から159までを割り当てられます。ホスト範囲は129〜158です。
⑨ 早見表と練習
解き方を確認したら、自分で計算してみよう
| 長さ | マスク | 総数 | ホスト数 |
|---|---|---|---|
| /16 | 255.255.0.0 | 65,536 | 65,534 |
| /20 | 255.255.240.0 | 4,096 | 4,094 |
| /23 | 255.255.254.0 | 512 | 510 |
| /24 | 255.255.255.0 | 256 | 254 |
| /25 | 255.255.255.128 | 128 | 126 |
| /26 | 255.255.255.192 | 64 | 62 |
| /27 | 255.255.255.224 | 32 | 30 |
| /28 | 255.255.255.240 | 16 | 14 |
| /29 | 255.255.255.248 | 8 | 6 |
| /30 | 255.255.255.252 | 4 | 2 |
迷ったときの計算順
- プレフィックスからマスクとホスト部ビット数を求める。
- AND演算、またはブロックサイズでネットワークを求める。
- ホスト部をすべて1にしてブロードキャストを求める。
- 両端を除いて利用可能な範囲と台数を求める。
よくある間違い
- プライベートIPの予約範囲と、問題で指定されたプレフィックスを混同する。
- 利用可能ホスト数を求める際に、通常のサブネットで「−2」を忘れる。
- 第3オクテットのブロックサイズをアドレス総数だと思う。
- 末尾が0・255という理由だけでホスト利用不可と判断する。判定対象はホスト部全体です。
- 割り当て開始アドレスだけを見て、終端のはみ出しや重複を見落とす。
対応する問題で練習
まずはマスクとネットワークアドレスから。慣れたらホスト範囲や割り当てまで挑戦してみましょう。